
京都女子大学にて「京女で学ぶ →ジェンダーとメディア」開催しました。 | Ryosuke HIDAKA https://ryskhdk.net/archives/766
6/9(月)に京都女子大学で開催した「京女で学ぶ →ジェンダーとメディア」について、ゼミ4回生の大宅綾花さんに参加レポートを書いてもらいました!!
2025年6月9日月曜日の16時30分から「ジェンダーとメディア」の領域に関わってきた先生方による講義を通して、これからどのように考えていくのかを学んでいく時間となった。ゲストとして、メディア文化論を専門分野とする東京大学大学院教授・田中東子氏と、NHKプロデューサーを経て現在は東京藝術大学大学院教授を務める岡本美津子氏を迎え、ジェンダーについて学ぶ時間となった(岡本氏は録画映像で参加)。
まず、田中氏は『オタク文化とフェミニズム』という著書をもとに、ジェンダーとメディアの関係について講義を行った。オタク文化や推し活を通して考えられており、日常生活の中にあるジェンダー不平等をメディア文化やメディアテクノロジーを通して研究されている。特に印象的だったのは、アイドル研究の多くは男性によって書かれていることが多く、女性による男性アイドル研究がほとんど存在していなかったという指摘だ。ただ、女性たちの実践やコミュニティは存在していたかにもかかわらず、不可視化されてきたことから、メディアとジェンダーの関係は根強いものだと感じる。
推し活という我々にとって日常的なものからジェンダー問題というものは起きていることから、自分自身でもSNSなどの投稿などからしっかりと見つめなおしていくことが大切だとおっしゃっており、1つ1つ確認することこそが私たちに求められているのだ。
次に、岡本氏の講義が始まった。残念ながら今回は諸事情により映像参加となったが、NHKのプロデューサーとしての経験をもとに、メディア作り手側の立場からジェンダーを考える内容だった。
講義では、自身が関わってきたNHKの実際の番組『0655/2355』からジェンダーとしての表現の変化が語られた。特に印象的だったのは、バレンタインデーに放送されたある回の演出に関する話だった。そこでは、女性が男性にチョコレートを渡す様子で、男性が階段の上に立ち女性が下から渡すという構図が描かれていた。この演出が、男性の方が立場が上だといったような影響を視聴者に与えてしまっているのではないかという問題提起が行われた。ただ岡本氏は「10年前は特に何も感じなかった放送が、現在は、異変を感じ取ることができる」と述べ、メディア表現におけるジェンダー感覚の変化を強調した。
このことから、岡本氏は、私たちは受け手であり、送り手であるという言葉を講義でまとめていた。情報を鵜吞みにせず、小さな違和感を大切にし、発信する際もその視点を持つことが大切だと述べられており、こんな時代だからこそ、メディアリテラシーとジェンダーへの意識をもって情報に接する姿勢が求められていると感じた。
田中氏は推し活やオタク文化からジェンダーを読み解き、岡本氏は番組制作の立場からメディアに潜むジェンダーの偏りを指摘していた。立場が異なっているが、どちらも日常の中にある偏見に気づくことの大切さを伝えていたのが印象だった。私たちは、情報をそのまま受け取るのではなく、しっかりと違和感や異変を感じ取り、しっかりと考えてから受け取ることが大切だと感じた。